外国人技術者と地域の共生を進めるための5つの実践ステップ

地方の中小製造業で外国人正社員を雇用するケースが増えていますが、地域社会の理解不足適応の課題に直面する企業も少なくありません。この記事では日本ミャンマー支援機構アドバイザーの深山沙衣子が、外国人技術者が地域に溶け込み、企業と地域が共に成長するための具体的な方法について、実際の成功事例を交えながら解説します。

外国人技術者の地域社会適応による受け入れ企業のメリットは?

 

・離職率の低下による採用コストの削減

 外国人技術者が地域社会に適応していけば、孤立を感じにくくなり職場環境や生活環境への満足度が向上します。職場への定着率が高まれば、離職のリスクが低下し、結果的に採用コストを削減できます。可能な限り、日常生活の困りごとの相談に乗り、外国人技術者が地域社会に順応できるようにサポートしていきましょう。

 

・地域社会との連携がもたらす企業ブランドの向上

 外国人技術者が積極的に地域活動に参加することで、地域社会からの信頼を得やすくなります。このような地域との連携を通じて、「多文化共生を推進する企業」や「地域に根差した企業」という社会的イメージを向上させることができます。まずは、地域の清掃活動や挨拶運動などに、日本人従業員と外国人従業員が一緒に参加することから始めてみてはいかがでしょうか。

 

・地域コミュニティの活性化と新たなビジネス機会の創出

 外国人技術者が地域社会に適応することで、地域住民や企業間に新たな交流が生まれます。様々な人々との交流が深まれば、新しいアイディアが生まれたり、埋もれたニーズに気づくことができたりすることは多いです。

 

 外国人雇用を通じて、企業と地域社会に新たな接点が生まれ、ビジネスチャンスが広がっていく可能性があります。

 

 

地域住民とのコミュニケーション不足が招く外国人材のトラブル事例

【事例1】言語の壁と文化の違いに起因

 外国人技術者が住んでいる地域のゴミ分別ルールを理解できずに、トラブルが発生したことであります。当然ですが、外国と日本のゴミ出しのルールも文化も違います。日本語があまりできなければ、各自治体でも異なる日本の複雑なゴミ分別を理解することは困難です。曜日ごとに図解で説明されたものを渡し、すぐに見れる場所に貼るようにアドバイスしています。

 

【事例2】地域社会の理解不足が生む孤立感

 外国人技術者にとって日本は外国、頼れる人が近くにおらず孤立してしまうことがあります。地域イベントなどにも参加しづらく、知り合いを作ることができなければ孤立感が増大します。企業が参加する地域の奉仕活動には、積極的に外国人を起用し、地域社会と外国人の接点が生まれるきっかけにしていきましょう。ただし、外国人がそれを望まない場合もありますので、必ず本人に確認します。

 

【事例3】地域住民との交流不足による溝

 外国人が日本の地域社会における暗黙のルールを知らず、大声で会話をしてしまい騒音問題が拡大してしまったことがあります。近隣に住んでいても「なんかよく知らない外国人」のままであれば、誤解も生まれやすく問題が大きくなってしまいます。外国人が入居した近辺に、経営者自らが一緒になって挨拶周りをした事例があります。近隣住民も新たに越してきた外国人の身元がわかれば安心感も生まれ、大きな問題に発展することを未然に防ぐことにつながるでしょう。

 

【STEP1】地域住民の理解促進

地域で発生する祭りやイベントに参加を推進し、外国人技術者と地域の交流の場を増やすイベントの企画を提供することや、外国人技術者が自国の文化を紹介する場を提供する。

【STEP2】生活サポートの充実

外国人技術者向けに、公共交通機関の利用方法を多言語対応で解説するガイドブックやアプリの提供や、医療機関の受信方法や医療用語の基本的な知識を学べる研修の実施など。また、始めての土地に住む技術者のために、地元の便利な施設やサービスを紹介するオリエンテーションの開催など様々なサポートを充実させる。

【STEP3】日本語教育の支援

企業内での日本語教育プログラムを地域の日本語教室と連携し、技術者のレベルや目的に応じた個別指導を提供する。また、オンライン日本語学習ツールやアプリを導入し、忙しい技術者でも自主的に学習できる環境を整備する。

【STEP4】地域住民との対話の場づくり

地域住民と外国人技術者が一緒に参加できるテーマ別ワークショップを開催し、ワークショップ後の懇親会や自由交流タイムを設け、非公式な場でのつながりを生む。

【STEP5】地域共生を目指す組織体制の構築

企業内に「ダイバーシティ推進委員会」を設置し、外国人技術者の支援体制や地域連携施策を定期的に議論する。また、社内外の意見を反映させるため、外国人技術者を委員会のメンバーとして参画させる。

まとめ

 少子高齢化が進む日本において、外国人材が重要な役割を果たしていく時代はすでに到来しています。外国人技術者が定着すれば、新たな視点が生まれ、多文化市場の開拓や新製品開拓など企業の可能性が広がります。外国人が地域社会に馴染み「ここで長く働きたい」と思うことは、企業と地域双方にとって持続可能な成長を生んできます。これらの実践ステップが、一人で日本に来た外国人が地域と共生していく第一歩となるよう、願います。


日本人アドバイザー 深山沙衣子(みやま さえこ)

1979年東京都生まれ。神奈川県で育つ。立教大学文学部心理学科卒業。

特定非営利活動法人(NPO)リンク トゥ ミャンマー理事長。

 

<経歴>

学生時代から東南アジアを旅行し、東南アジアと日本をつなぐことに興味を持つ。

マレーシア国営企業子会社の日本支社にてLNG(液化天然ガス)輸入貿易事務に携わる。

リクルートの広告代理店にて求人広告や新聞広告制作に従事したのち、出版社で雑誌の編集記者となる。2010年頃より本格的にフリーライター、ジャーナリスト活動を開始。

 

2011年、ミャンマー人の難民として日本に来たTUN AUNG KHINと結婚。自身の執筆活動を通じて、東南アジアで最も未知の国ミャンマーを表現することをテーマにする。

 

 2012年、日本ミャンマー支援機構株式会社をTUN AUNG KHINと他メンバーとともに起業。ミャンマー人の日本におけるトータルサポート(就職・留学・法的手続き、書類作成、仕事紹介、住居紹介、観光案内など)および日本企業の進出支援を行う。

 

<本の購入について>

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