2022年9月30日更新
ミャンマー国内の暴力に終止符、武器販売に対する制裁が鍵: オブザーバー
ミャンマーの軍事政権が国民に対して海外から購入した武器を使用した「戦争犯罪」 を犯している事実を受け、国内の暴力に終止符を打つためには新たな制裁対応を講じなければならない、と元軍将校や政府系オブザーバーが月曜日に伝えた。
ジュネーブの国連人権事務所は金曜日、テロや抑圧により支配する軍事政権に対して資金や武器の提供を防止するために各国はさらなる努力が必要だと報告書で訴えた。
当事務局は国連加盟諸国に対して、効果的な統治を実施していない軍事政権に対してさらなる孤立化を求め、そのビジネスネットワークにより外貨獲得を図ることを防止ために武器販売の禁止やより厳格な制裁を課すことを提案した。
2021年2月のクーデターで軍が政権を掌握して以来、米国、英国、カナダ、EUがミャンマーに制裁を科している一方で、ロシア、中国、セルビアなどいくつかの国は軍事政権に武器を供給し続けている。
ミャンマーのRFA(ラジオフリーアジア)での月曜日のインタビューによると、現在は反軍事政権市民不服従運動 (CDM) の一員である元陸軍大尉のリンテットアウン氏は、制裁は軍事政権が権力を維持するために必要な現代の武器や原材料から軍事政権を切り離すための鍵であると述べた。
ミサイルや重火器、その付属品、軍隊が使用する弾薬は、全て外国から輸入されており、原材料はもちろん、これら全てを外国から購入しなければならない。CDMのリーダーは、国際社会が効果的な制裁を実施しなければ、軍は町や村への爆撃を含む人権侵害を続けるだろうと語った。
(2022年9月19日:rfa記事をJMSAが要約・翻訳)
ミャンマー軍事政権の攻撃を恐れたバングラデシュ国境の住民
約4,000人のロヒンギャを含む約1万人の住民が、ミャンマーとの国境に位置するバングラデシュのバンダルバン地区でミャンマーの軍事政権軍の戦闘機、ドローン、迫撃砲、機関銃の発射を恐れながら生活を余儀なくされている。
金曜日の夜、少なくとも3発の迫撃砲弾が国境を越えて発射され、モハマドイクバルさん(17歳)が殺害され、その他6名が負傷し、病院に搬送された。多くのロヒンギャはクトゥパランの難民キャンプに避難している、とロヒンギャの自治区の代表らは語った。
バングラデシュ国境警備隊と沿岸警備隊は、国境沿いに警戒態勢を取っており、バングラデシュ当局は月曜日、この地域を訪問し、この危険な移住地に関して自治区の代表らと話し合いの場が持たれた。
バンダルバンのヤスミンパルビンティブリジ副長官は月曜日、記者団に対し国境沿いの自治区の要請があれば移転の可能性があると語った。金曜日にこの地区で起きた爆撃による致命的な被害を受け、バングラデシュ外務省が日曜日にミャンマー特使のアウンチョウモー氏を召喚したが、同大使が国境侵入に抗議して外務省に呼び出されたのは8月21日以来4回目となった。
同省は19日、「バングラデシュ領内の人々に死傷者を出したミャンマーによる迫撃砲弾、空からの砲撃、領空侵犯に対してバングラデシュはミャンマーに対して強い抗議を行った」と述べた。
(2022年9月19日:The Irrawaddy記事をJMSAが要約・翻訳)
2022年9月26日更新
ミャンマーとロシアの原子力協力に懸念
アナリストらは、ミャンマー軍事政権とロシアの国営原子力公社が、同国での小型原子炉建設を共同で評価する点について合意したことを受け、軍政の長期的な核兵器研究を示すものだと指摘した。
政権の科学技術大臣のミョーテインチョウ氏、電力大臣のタウンハン氏、そしてロシア原子力公社のアレクセイ・リクハチョフ最高経営責任者は、9月5日から8日までウラジオストクで開催された東方経済フォーラムに出席し、 「協力ロードマップ」 に署名した。協定の調印は、軍事政権トップのミンアウンフライン国軍総司令官のもとで行われた。
この取引は原子力エネルギー分野におけるロシアとミャンマー間の協力を促進し、ミャンマーにおける小規模原子炉プロジェクトの実現可能性を評価するものである、とロスアトム氏は9月6日に発表した声明で述べた。
同日、軍事政権は原子力を発電、科学研究、医薬品製造、産業に利用すると発表した。
同声明には、 「ロードマップは、核分野におけるロシアとミャンマーのさらなる協力に向けた明確なステップを定めたものであり、特に、同文書は、二国間の法的枠組みの拡大、ミャンマーにおける小型モジュラー式原子炉プロジェクトの実施の可能性、並びにミャンマーでの原子力に対する国民の受容性の向上に関連する人材訓練及び作業について規定している」とある。
小型モジュール式原子炉は、従来の原子炉よりも小型であり工場で建設される。その後、施工場所へと輸送され、運用および発電が実施される。
それにも関わらず、ミャンマーの政治的敵対勢力や軍事専門家は、この合意について懸念を示していた。その背景には、同国では内戦が続いており、2021年2月のクーデター後に反体制派が広がっていることを考えると、この合意が核技術を悪用する動きの始まりになるのではないかと懸念しているのがその理由だ。
(2022年9月12日:raf記事をJMSAが要約・翻訳)
中国の支援を受けたミャンマー西部の港、土地と雇用を奪っている
ミャンマー軍事政権は、チャウピュー特別経済水域 (KPSEZ) や西部ラカイン州の深海港の開発を進めようとしているが、このプロジェクトに対する地元からの抗議や昨年のクーデターの影響により大幅に遅れている。
4,300エーカーのKPSEZと643エーカーの港は、北京の野心的な一帯一路構想の一環である中国・ミャンマー経済回廊 (CMEC) の基幹プロジェクトとして進められている。
このプロジェクトは、インド洋への直接航海することができ、中国の海上交通が混雑するマラッカ海峡を迂回できるようにする点で、中国の利益にとって不可欠なものである。中国政府はまた、CMECをミャンマーと国境を接する内陸の雲南省の開発促進にも活用したい考えである。
中国国際信託投資公司 (CITIC) は、2018年11月にKPSEZ運営委員会とSEZの発展に向けた枠組み合意に調印した。これに続き2020年1月には、習近平国家主席がミャンマーを訪問し、深海港の建設に関する合意文書の調印が行われた。
この合意では、開発費の7割を中国の国営企業であるCITICが、そして残り3割をミャンマーが運営するKPSEA深海港社が出資を行う。
しかしこの合意後、ミャンマー国内では混乱が起きている。同時に、開発の全体的な進捗は、プロジェクトに対する地元住民の懸念に関連する問題により妨げられている。
まだKPSEZの開発は進んではいないが、軍管理下にある機関は、提案された工業地帯の250エーカーの土地を押収しようと計画している。4つの集落から成るこの土地には70人以上の地元農民が生活しており、多くの村民らは土地の強制押収に反対している。
一部の村民は、自分たちの土地が、他の所有者によって所有されていることを示しているという疑わしい法律文書を、外部者が自分たちの土地を奪おうとするために使用していると主張している。
(2022年9月13日:The Irrawaddy記事をJMSAが要約・翻訳)
2022年9月15日更新
ミャンマーでの医薬品の価格が高騰、診療所では物資が不足
ミャンマーでは、医薬品価格の高騰により一般的な医薬品の価格が度々倍増しており、診療所ではしばしば供給不足に陥っている。それにより多くの人々を治療が受けられないと軍事政権下の情報筋は伝えた。
鼻かぜやインフルエンザの治療に使われる一般的な薬ですらミャンマーの文民統治を転覆させた2021年2月1日の軍事クーデター前の2倍の値段に高騰している、と複数の情報筋は述べた。
「物価はずっと上がっている」と旧首都ヤンゴン在住の住民はRFA(ラジオフリーアジア、以下RFA)に語った。 「広く使われている家庭薬のミクサグリップのパッケージの価格は、これまでは600チャット (0.29ドル)だったが、今ではおよそ1,800チャットで販売されている」とRFAの関係者は、セキュリティー上の問題を理由に匿名を条件に伝えてくれた。
「当面の間、ミクサグリップは店頭でも販売はされていなかったが、最近になり再び店頭に並ぶようになった」と同氏は語った。
他の医薬品価格も急騰しており、情報筋によると、心臓病治療に使われるカーディバスが1,000チャット (0.48ドル) から1,500チャット以上へとほぼ倍増した他、高血圧治療薬Amlong-5が3,400チャット (1.62ドル) から6,500チャットに上昇したという。
ヤンゴン市ミンガラドン区のある薬局の経営者は、「製薬会社が負担する費用が毎日変わるため、医薬品の在庫を維持するのが難しい」 と述べた。
RFAは、家庭用医薬品の法外な価格についてミャンマーの製薬会社に問い合わせをしたが、当直の職員はその件についてコメントはできないとのことだった。またミャンマー医療品医療機器企業協会に関する質問に対してもノーコメントであった。
(2022年9月8日:rfa記事をJMSAが要約・翻訳)
ミャンマーの軍事政権指導者、ロシアでの会談でプーチン氏から絶賛を受ける
国営メディアによると、ミャンマーの軍事政権指導者であるミンアウンフライン国軍司令官は、ロシア東部の都市ウラジオストクで水曜日に初の直接会談を行い、国際的な安定をもたらす世界の指導者としてロシアのプーチン大統領を称賛した。
ミンアウンフライン氏もインタビューで、深刻化する自国の危機は制御されていると主張した。同氏は、2021年2月のクーデターで政権を掌握して以来、ロシア訪問は3度目である。6カ月前のロシアによるウクライナ侵攻以来の外交的孤立とは異なり、ミャンマーでの軍事政権による政権掌握以来、ミャンマーは国際的孤立に直面しており、ロシアは軍事政権の数少ない同盟国の一つである。
ロシアのタス通信によると、この軍事政権トップが直面している問題は、ロシアが 「苦難の時代を経験した」 およそ30年前に起きたソ連崩壊に確実につながった事柄について連想する内容だと伝えた。
「ロシアの援助により、ミャンマーは精力的な発展を遂げている」 とミンアウンフライン氏は、極東経済フォーラムでの水曜日の会合で述べた。「ロシアは、自国を統治し始めることで世界的に指導的な地位に就いたと言える」と、同氏述べた。
「ロシアは世界の安定をコントロールし、組織化しているため、我々はロシアをリーダーとしてだけでなく、世界のリーダーとしても見ている」 と、同氏は付け加えた。
ミンアウンフライン氏はロシアのRIAノーボスチ国営通信社(以下、RIA)とのインタビューで、ミャンマーがロシアの石油製品の購入を開始したと伝えた。
「ロシアからミャンマーへの石油製品の供給は、すでに滞りなく行われており、数日中にはロシアから最初のディーゼル燃料の供給を受ける予定だ」と述べ、ミャンマーがドル建てによる輸入代金の支払い方針から変更する可能性を示唆した。
「ロシア側が希望する支払い通貨が何であれ、私たちはそれに合わせ支払を行う。通常は、他の通貨の受取りと転送に多くの制限があるが、これにより作業が大幅に簡素化される。この問題が解決されれば、ルーブルで支払うのが妥当と考える」と、RIAは同氏の言葉を引用した。
(2022年9月7日:RFA記事をJMSAが要約・翻訳)
2022年9月8日更新
ミャンマー軍事政権、政党に新たな制限
ミャンマー政権は、政党が政権の選挙管理委員会の許可なしに国際機関や外国籍の者との会話を禁止するなど政党へのさらなる規制を導入した。
軍政の連邦選挙管理委員会(以下、UEC) は8月11日、政党に対し外国の団体や関係者と会う前に承認を得るよう求める通知を出した。また当局は先週、外国組織がミャンマーの政党と面会する場合は、大使館を通して同政権の外務省に報告することを義務付けた。
UECによると、外務省の回答に基づいて行動すると述べ、このような制限はミャンマーの選挙制度の歴史上前例がないという。
UECは8月11日の通知では、2020年の総選挙に外国の大使館、国際的なNGO、国内の関連団体が介入したとして非難し、ミャンマーの軍事政権は、大規模な選挙に対する不正行為により総選挙が台無しにされたと語気を強めた。
軍が起草した2008年憲法第407条 (c) と第408条、政党登録法第6条 (f) を引用して、UECは8月11日に発行した通知の指示に従わない場合、政党を解散させると警告した。
その内容には、「外国政府、宗教団体その他の団体又は外国人から直接又は間接に資金、物資その他の援助を受け、かつ、支出する場合」と明記されている。
来年には総選挙が控えており、改正が進められている政党登録法にもさらなる規制が予想される。
(2022年8月30日:The IrrawaddyをJMSAが要約・翻訳)
ミャンマー中央銀行副総裁に元将官が就任
実業界で著名なアウンコウィン氏の義兄で最近退官した将官が、軍事政権が支配するミャンマー中央銀行 (以下、CBM) の副総裁に任命された。
ゾーミンナイン少将は、CBMの理事会を刷新し、同行の3名の副総裁のうちの1人に指名された。同氏の妻はティンティンオン氏で、ミャンマーで最大規模である民間銀行カンボーザ銀行の会長であるアウンコウィン氏の妹である。
今回の人事異動により、CBMのタンニェイン総裁と副総裁のウィントゥ氏が失職し、副総裁のタンタンスウェ氏が総裁に昇格した。タンタンスウェ氏は4月、ヤンゴンのバハン郡区の自宅で反クーデター抵抗勢力の戦闘員によって銃撃された。
ゾーミンナイン氏によるCBMの加入にあたり、ミャンマー軍から引退するよう命令されるまでは国防省の会計部長を務めており、8月19日に同氏の任命は発表された。
以前は、前軍事政権第3書記のウィンミン将軍の個人参謀として国家法秩序回復評議会を務めていた。
(2022年8月30日:The IrrawaddyをJMSAが要約・翻訳)
2022年9月1日更新
ミャンマー軍政長官、元政権幹部に外交政策助言を求める
ミンアウンフライン氏は、国際関係に関する 「革新的なアイデアと政策提案」 を同氏に与えることを任務とする、いわゆるシンクタンクにメスを入れ、組織をイエスマンで固めた。
ミャンマー戦略国際問題研究所 (MISIS) は、外務省の管理下に置かれることになり、内部には軍政関係者で多数を占めている。
テインセイン政権下で同じ立場を務めた軍事政権の外務大臣を務めたワナマウンルイン氏とテインセイン政権の顧問を務めた国際協力大臣のココライン氏は、地域および国際情勢の評価と調査を行っているシンクタンクの後援者として職務に就いている。
他のメンバーでは、テインセイン氏の顧問を務めた国家開発党委員長のナイジンラット氏、そしてミンアウンフライン氏の諮問委員でもあるイーイーヌウェ博士も在籍している。
このシンクタンクの事務局長は、軍事独裁者であったタンシュエ氏の義理の息子である戦略研究訓練部の局長のゾーピョーウェイ氏である。
MISISは、1992年に当時の政権によって設立され、国家法秩序回復評議会と呼ばれ、外務大臣が議長を務め、各省庁の長官がメンバーとなっている。当時は 「ミャンマー戦略・国際問題研究部」 と呼ばれ、地域や国際の平和・安全保障問題を研究していた。
2013年に独立したシンクタンクとして再設立され、MISISと命名されたが、その後も軍人によって支配され続けた。また防衛大学校や軍研究本部の幹部、元公務員、著名な学者などもそのメンバーであった。
軍事政権の管理下にある英字新聞 「The Global New Light of Myanmar」 によると、この組織の目的は、トラックII外交を効果的に活用し、相互に持つミャンマー内外のシンクタンクとの友好的かつ緊密な協力を通じて、革新的なアイデアを創出し、政策提案を行うことを視野に入れた地域・国際問題に関する研究、観察、調査を行うことであるという。
(2022年8月19日:The IrrawaddyよりJMSAが要約・翻訳)
インド外相、ミャンマー軍事政権との関係を擁護
最近行われた死刑執行と来年2023年に予定されている選挙の正当性について国際的懸念が高まっているにも関わらず、インドの外相は木曜日、ミャンマーの軍事政権との関係を擁護した。
ミャンマーの10年にも及ぶ民主化の実証検証は昨年中止され、軍部がアウンサンスーチー氏率いる民主政府をクーデターにより追放した後、ミャンマーは血なまぐさい紛争へと進んでいった。
西側諸国の一部は同国との関係に一線を引き、軍事政権に対する経済制裁を課すことにより、ミャンマーは国際的に孤立していった。
だがインド、中国、そしてロシアは、閣僚級の訪問を行うなど、政権との関係を続けている。
インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相は、「ミャンマーに対するインド政府の立場は何十年にも渡り一貫しており、植民地主義に反対して自由を求めて戦ってきた時代のインドにまで遡る」と語った。
「我々の関係は、その日の政治で判断すべきものではない」 とジャイシャンカル氏は、バンコクのチュラーロンコーン大学で行われた演説で聴衆に語った。
インドは、隣国として組織犯罪や新型コロナウイルス、ミャンマーの反政府勢力など国境問題で軍事政権との関係を避けられなかったという。
「我々は、国境関係と隣国であることの複雑さにも対処しなければならない」 と彼は述べた。
(2022年8月19日:The IrrawaddyよりJMSAが要約・翻訳)
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